2019/10/08


収穫の秋、食欲の秋という事で、木の実やキノコ、米や一部畑の作物など収穫のシーズンで何かと食が忙しい秋。秋の味覚にも色々ありますが、黄金色に輝く田でこの時期沢山見られるイナゴたち、彼らも立派な秋の味覚です。そんなわけで先日、仕事で子どもと一緒にイナゴを調理して食べました。

昆虫食というと今の日本の食卓では一般的ではなくなってきており、ともすればゲテモノ扱いされることもあります。が、昆虫食は世界を見ても広く昔から行われてきた歴史があり、今も日本を含め、世界各地で現存する立派な食の文化です。

蜂の子in長野 「ピーナッツ味の肉」という感じ。美味しい。

日本における虫食のホットスポットと言えば長野県をはじめとする中部地方の一部地域~東北地方にかけての地域が挙げられます。以前住んでいた長野ではイナゴ、蜂の子しか食べていませんが、他にもザザムシ(ケラ)やカイコ、ゴトウムシ(カミキリムシ)などが有名で長野は日本の昆虫食のメッカです。海に面していない長野では海産物に代わる蛋白源として昆虫食が発達したという背景があるようです。

 カイコの蛹の素揚げinカンボジア

カイコの蛹を素揚げにしたもの。カンボジアの屋台で売っていました。味は香ばしくどこか粉っぽい?ようななんとも言えない虫独特の味。養蚕では繭から蛹を取り出す工程があり、沢山の蛹がとれるため、養蚕が行われていた地域ではカイコの蛹を食べる習慣があったりします。2014年に世界文化遺産に登録された群馬県の富岡製糸場の周りでも売っていました。

ゲンゴロウの素揚げinカンボジア 

カンボジアの屋台で発見したゲンゴロウの素揚げ。ゲテモノ喰いとして紹介される食レポ記事なんかでは丸ごと食べて「硬くて口に残る」という感想がよく見られますが、現地民曰く、羽をむしって胸より下をポキっと折ってから食べるのが正しい?食べ方とのこと。それでも尚バリバリムシャムシャといった食感で、虫独特の香ばしい味。

コオロギの素揚げinタイ

タイの田舎の市場で売っていた素揚げコオロギ。カイコの蛹によく似た味ですが、触覚や足、羽があるので、食感はエビに近いです。タイでは竹に住んでいる蛾の幼虫、バンブーワームも食べました。タイ語ではロットドゥアンと呼ぶそうで、山岳民族の季節の山の幸だそうです。素揚げされてパリパリになっており、見た目以外は何の変哲もないスナック菓子のようでした。妻(当時彼女)と一緒に食べようとお土産に買って帰ったら、美味しすぎて全部食べられてしまいました。

タイも日本と同じく東北地方で虫食の文化が色濃く残っており、その背景も海に面していない立地における蛋白源の確保のためと長野で虫食が発達した背景と似ています。バンコク(都会)から田舎に来たタイ人は虫を食べるのに抵抗感を持つらしいですが、そこも日本と同じです。

先日子どもが試しに天ぷらにしていたトンボ

トンボを食べることは実際にあまり聞いたことがありませんが、「日本の食用昆虫」という論文には日本を含む世界でトンボ目が食用・薬用とされているとチラッと書いてあります。胸以外はパリパリで殆ど食べ応えがなく軽いスナックのようです。
写真がありませんが、これ以外にもアリやカメムシも食べたことがあります。カメムシは下処理に失敗すると大変な事に。

イナゴ

今回、イナゴは食べ方として最もオーソドックスな佃煮にしました。
獲ってきたイナゴは一日置いておいて糞出しをし、それから調理に入ります。


油で炒めるのですが、生きていると油が跳ねたり逃げたりして大変なので、炒める前に熱湯をかけるか一旦茹でます。炒める時は油が跳ねないよう水気をしっかり切りましょう。


ある程度炒めて香ばしい香りがしてきたところで、砂糖大さじ4、醤油大さじ2を入れて煮詰めていきます。ある程度煮詰まったら酒を少々加えてからさらに熱し、水分を飛ばします。とろみがついてきたら完成です。

完成

見た目は遠目にエビの佃煮となんら変わりないですが、食べた食感もエビそのもので目をつぶって食べたら恐らくわかりません。佃煮ということで濃い味付けなので、バッタの味などはわかりませんが、できたてはタレが絡んでしっとりしていながら一部パリっとした食感も楽しめる、ご飯に合う良いおかずです。子どもたちにも大好評でした。

慣れていないと最初のビジュアルが壁となる虫食ですが、一度えいやと食べてしまえばその後は一気に抵抗感が無くなります。感覚をフラットにすれば普段食べているエビなんかは足が多い分普通の虫より凄い見た目ですし、カニなんかは巨大なクモかウデムシのようです。慣れているかどうかの違いだけで食の幅が狭まるのはもったいない、食べられるものはどんどん食べていきましょう。
OK
秋の味覚 イナゴを食べる
10/08/2019

秋の味覚 イナゴを食べる

2019/10/07


現在、藍を育てているメインの目的は、綿の栽培から作った服を染めるための染料を得ることですが、藍はどうやら染めるという服飾目的のみならず、古くから薬用、食用にも使われてきたとのこと。染色にクローズアップされがちな藍ですが、実のところ衣・食どちらもカバーするマルチ作物なのです。というわけで、染色に先立って藍を食べてみる事にしました。タデ食う虫も好き好きと言いますが、その味やいかに。

藍の葉を採集

藍を食用にする方法は色々あるようで、新芽を刺身のツマにしたり、茶にしたり、天ぷらにしたり、若葉をサラダに乗せたりといった食べ方ができるそうです。中には色々な料理に使用できる藍の葉パウダーというものも今は売られているとのこと。

まずはお茶から

まずは一番手軽なお茶から。生葉を炒ってそれを煮出してお茶にします。


生葉とは別に天日で乾燥させた葉も煮出してお茶にしてみます。いずれもパーコレーターに丸ごと葉を入れて煮出します。原色牧野和漢薬草大図鑑によると、藍の種子・葉を煎じたものは、消炎、解毒、痔、扁桃腺炎、喉頭炎などに効果があるとのこと。


淹れたお茶は期待に反して普通の色。青色になるかと想像していましたが、炒った葉、乾燥葉、いずれのお茶も同じ色になりました。
乾燥葉のお茶は稲刈り前後の田んぼのような香りがします。藁というか、稲穂のついた稲というかそんな香りでそれ以外の何とも例え難い香りです。味も香りそのままの味がするのですが、やや苦みがあります。冷めると苦みがより強調されるので、温かいほうが美味しく飲めます。

藍の葉は乾燥させると本当に藍色になり、綺麗です。

炒った方は炒っている分、こうばしさが香りの前面に出ていて、乾燥葉茶よりも苦みを際立たせているように感じます。なにか上手にやる方法があるのかもしれませんが、現段階では乾燥葉茶のほうがマイルドで好きです。いずれにしても煮詰めすぎる・冷めている・葉の分量が多いなどするとかなり苦いお茶になるので、薄めて飲むと丁度良くなります。

次はサラダ。トマト、オクラ、ピーマンも畑で穫ったもの。

比較的若く、柔らかい生葉をサラダの上に少量乗せて食べてみます。藍単体で食べると結構苦みが強く、藍の葉がメインのサラダというのはきつそうですが、他の野菜の中に少量混ぜて食べる分には味のアクセントになって結構美味しいです。生ですが、青臭さはありません。

三番手おひたし

調べても出てこなかった藍の葉のおひたし。多分苦い事がわかっているから誰もやらないのだろうという事は既にわかっているのですが、とりあえずやってみました。
味付け無しの状態は確かに苦いですが、生葉ほどではありません。ごま油と醤油に和えて食べてみると、二種類の調味料の香りが苦みにマッチしてこれなら藍単体でも美味しく食べられました。おひたしは噛むと若干ぬめりが出て、食感も楽しめます。苦みを良い方向に持っていく味付けを考えれば藍単体での活躍にも可能性がありそうです。

ただ、食用藍について調べてみると、生葉にしても茶にしても、苦みやクセがないと紹介されているところもあり、栽培の方法や採集の時期、調理の仕方によっては、この苦みを抑えることができるのかもしれません。そもそも「食用藍」と紹介されているものは「染色用」とはどう違うのでしょう。品種?無農薬栽培?無農薬栽培が条件であれば我が家の藍は食用としても及第点なはずです。


今では染色のイメージが強いですが、実際は食べる事によっても色々な効能が得られる藍。昔は藍を食べたり薬用にしたりすることは珍しいことではなかったらしく、薬草に関する古典でも紹介されています。「藍商人は病気知らず」という言葉もあるそうで、昔の藍商人は胃薬代わりに藍の種を持ち歩いていたとか。現代になり、そんな食用・薬用としての利用が見直され、研究によって改めてその抗酸化作用や抗菌作用、その他も多くの健康効果が明らかになっているとのことで、調べてみると様々な食用藍の商品が売られています。

個人的に食材としてガンガン活用するにはまだまだ料理の研究が必要そうですが、色々な健康効果や栽培の容易さを考えれば、それをする価値は大いにあるんじゃないでしょうか。染めてよし、食べてよし、薬によしのマルチ作物、藍は畑のレギュラーメンバー決定です。
OK

蓼食う虫も好き好き 藍の食べ方実験中
10/07/2019

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2019/10/03


先日、葉の二番刈りを終えて採種のために開花を待っている衣畑の藍。現在ほぼ全ての株が蕾をつけており、だんだん畑全体が色づいてきました。


早いものは花が開いているものもありますが、大半はまだ蕾の状態です。蕾と書きましたが、藍の花について調べてみると「花びらのない米粒のような花をつける」と説明されているところもあり、もしかしてこれが現在満開の状態?でも実際花びらが開いているものもチラホラあるので、そうとも思えません。


殆どがピンク色の花ですが、中には白い花(蕾)をつけている株も。播種の段階では品種を分けていたのですが、途中、一部苗が枯れたり、風でセルトレイがひっくり返ったり、追加で播種をしたりとアクシデントが重なるうちによくわからなくなって結局ごちゃまぜで植えたのでした。徳島は「白花小上粉」という白い花をつける藍の品種が多く栽培されているようなので、徳島から送って頂いた種から育てた藍かもしれません。


先月、大風でなぎ倒されてしまった綿たちも、無事に育ってくれています。
OK
畑作2019 10月上旬衣畑近況
10/03/2019

畑作2019 10月上旬衣畑近況

2019/09/27


先日作ったスイカ蜜。残ったスイカも引き続き蜜に加工しています。
先日の蜜作りでは、ミキサーにかけた果肉を何度も濾して果汁だけにする工程がありましたが、作業をしているうちにもっと楽な方法を見つけました。

濾し一回目が終わったスイカ汁

スイカの可食部分をミキサーにかけたものをザルで濾しつつ、鍋に移していくという最初の工程は以前と同様。実はこの時点で、鍋に入っているスイカ汁は細かい果肉と果汁で上下二層に分かれています。そこで、この状態で火にかけ加熱します。


温度が上がり、フツフツしてくると、果肉が灰汁状になって中心に寄ってくるので、それをひたすら掬い取ります。グラグラ沸騰させるとものすごい勢いで泡が盛り上がり、吹きこぼれるので注意しましょう(経験済み)。


掬った果肉にも蜜を含む水分が含まれています。ザルの上に粗めの布を敷き、そこに掬った果肉を入れておきます。そうすると勝手に汁が滴って集まるので、これもまた別の鍋に溜めておき、後々一緒に煮詰めます。


あらかた掬い終わるともうほぼ果汁だけになりました。これで大分濾し作業は省略できます。


それでもまだ果汁内には細かい果肉や、細かい種の破片などが浮いていたりするので、仕上げに目の細かい手ぬぐいで濾します。あとはひたすら果汁を鍋で煮詰めるのみ。

スイカ八個分を凝縮

前回作った蜜も一緒に合わせてさらに煮詰めました。限界まで煮詰めていくと水分が飛ぶにつれて黄色~オレンジだった色がどんどん濃くなっていき、カラメルのような色になり、最後には限りなく黒に近い茶色になりました。熱をとると蜂蜜ぐらいの粘度が出ます。かなり長期間保存が効きそう。


鍋から掬って集めた果肉は、とても滑らかで、味も食感もスイカのクリームといった感じです。そのまま何かに乗せて食べたり、シャーベットにして食べてもよさそうです。

果肉を使ったジャム

試しに果肉にスイカ蜜を入れて煮詰め、スイカジャムにしてみましたが、これは甘いだけで今一つでした。酸味を付けるためにレモン汁も入れてみましたが、酸味を感じられるだけの分量を入れるとスイカの風味がレモンに負けてしまい中途半端なジャムになりました。ジャムはやっぱり酸味のあるもので作る方が向いているようです。
OK

スイカ蜜加工法改良とスイカジャム試作
9/27/2019

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2019/09/26


食の畑2019。トマトは、まだぼちぼち収穫できるとはいえ、段々と終わりが見えてきました。今回育てているトマトは、種を受け継いで次世代もその種から同じ形質をもつ作物が栽培できる固定種です。来年の畑作に向けて、採種作業を行いました。


ちょっと熟れすぎたトマトを畑で見繕ってきました。今回採種をするのはこの三つ。

トマトを割って

種を取り出します。種を採った残りの果肉を食べながら作業を進めます。

取り出した種は小袋へ。カビないように空気を抜いて袋を縛り、2~3日室内で放置。

放置後


袋の中身をザルにあけて種を洗います。採取直後はプルッとしたゼリー状の果肉に包まれていた種ですが、発酵が進んでシャバシャバになっており、洗いやすくなっています。


洗い終えたらキッチンペーパーでしっかり水気を切ってから、干して乾燥させます。乾燥が不十分だと発芽率が落ちるとの事。乾燥後は低温低湿度で保管します。種子の寿命は4年と結構長持ち。

採種の方法は野口の種HPや種の小袋に書いてあったものを参考にしています。これからも来年に向けて、カボチャやピーマンなど、順次採種作業を行っていきます。うまく種が継げるでしょうか。結果は来年の播種までわかりません。
OK

畑作2019 固定種トマトの採種
9/26/2019

畑作2019 固定種トマトの採種

2019/09/24


徐々に秋らしさが増してきた最近ですが、食畑の野菜たちは、ものによって今もまだ実をつけ続けており、収穫が続いています。


種から育てた固定種トマト、ポンデローザトマト。固定種は形もいびつになりやすいなどと聞いていましたが、割と綺麗な形に育ちました。店で売っている大玉トマトに比べると小ぶりですが、美味しいトマトです。


ナスは固定種ではなく、ホームセンターで買った苗で育てました。植え付け時期はかなり遅かった上に、その直後から仕事が繁忙期に入り畑が放置状態になってしまい、支柱も何もせず放任栽培になっていました。が、そんな状態でも沢山実ってくれるのがナスの良いところ。


昨日の大風で煽られてぐちゃぐちゃになびいてしまったオクラたち。これも種から育てた固定種オクラです。2m以上の大きさにまで成長しました。こんなに大きくなるとは思っていなかった…。

葉もデカイ


オクラの実も適期に収穫しないと大きくなって硬くなってしまい食べられなくなります。仕事の繁忙期で収穫できず大きくなってしまった分は種採り用に置いておいて、上に実っている柔らかい実を収穫。限度がありますが、この品種は比較的実が大きくなっても食べられるので、収穫に便利です。


種から育てた固定種ピーマン。ピーマンはなぜか育苗が上手くいかず、苗が二つしかできなかったのですが、その二つの苗は元気に育ち、沢山実をつけてくれました。これなら採種もできるので、次世代に繋げそうです。

収穫した野菜たち


衣類畑の方はと言えば、昨日の大風で綿がなぎ倒されてしまっていました。かなり背が高く育ってしまったので、余計に風を受けてしまったようです。

根っこからなぎ倒されているものも


幸い完全に引っこ抜けたりしたものはなかったので、根元に土を寄せて、また真っ直ぐ立つように補強しました。綿はこれからどんどん実る時期なので、風に負けずに頑張ってもらいたいところです。
OK

畑作2019 夏野菜収穫・畑近況
9/24/2019

畑作2019 夏野菜収穫・畑近況

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