棕櫚(しゅろ)皮採集②
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まず棕櫚の木を探します。棕櫚は葉や全体の雰囲気が明らかに他の木と違うので、遠目にもよく目立ちます。
ある程度の高さのある木を探します これはまだ手を付けていない木
棕櫚の木を見つけたらまず、皮を剥ぐために下準備をします。棕櫚の幹は繊維状の樹皮で覆われていますが、幹の頂点に近づくほど新しく良い皮になります。地面に近い下の方の傷んだ皮は刃物で先に剥いでしまいます。
皮を剥いだ幹はこんな感じ これは以前少し採集した木
一か所皮を剥いで幹を露出させると、皮が一枚一枚きれいに剥ぎやすくなるので、そこから採集スタートです。ぼくの場合は数年前から行きつけている木がいくつかあるので、前回採った続きから採集します。皮を採るたびに、皮の位置が少しづつ高くなっていくので、ある程度まで採るとだんだん採りづらくなっていきます。特に本職の方はより良い皮を取るために木の上部で皮を採集するので、高い位置に木などで足場を組んで作業をするそうです。
作業がしやすいように枯れ枝を折りとります
樹皮の根元に鉈を当て、幹の周囲に一周ぐるりと切り込みを入れます
樹皮は一枚ずつ幹に巻き付くようにしてついています。一枚一枚の樹皮の根元部分だけが幹にくっついているので、そこよりも少し上に切り込みを入れていきます。
樹皮には必ず一か所、芯のような部分があるので、それに沿って縦に切り込みを入れます
一番上部から、先ほど切り込みを入れた樹皮の根元部分まで縦に切り込みを入れ、あとはめくってやると綺麗な四角いシート状に樹皮が採れます。
棕櫚の樹皮は一本の木につき、1年10枚のペースで作られるらしいです。
ちなみにこの棕櫚繊維で作られる箒の中には鬼毛箒なるものがあります。鬼毛とはこの棕櫚皮1枚につき5本程度含まれている少し太い繊維の事で、これを手で抜き取り選別し集めて作られるのが鬼毛箒です。一本の鬼毛箒を作るためには多くて1万本の鬼毛が必要とのこと。1本の棕櫚の木で作ろうと思うと200年かかります。買うと凄い値段ですが、「一生に3本あれば事足りる」と言われるほどの耐久性があるそうです。
採れた樹皮
一枚剥がすと次の樹皮が出てくるので、また同様の手順で剥いでいきます。切り込みを入れる時は一枚分の切り込みが入る程度の力でやります。力を入れすぎると二枚目三枚目の皮まで変な風に切り込みが入ってしまいます。あと何だか木にも負担がかかりそうです。
と、いった具合に皮の剥ぎ方を紹介しましたが、これは誰かから教えてもらったわけではなく、自分で棕櫚の皮を採集しようと実際に色々やってみて行きついた方法なので、もっといい方法があるのかもしれません。
数年前からちょこちょこ樹皮を採っている木
皮を剥がれた木はなんだか寒々しくもあるので、枯れやしないかと心配になりますが、採集後数年経っても青々とした葉を付けているのを見るに、どうも大丈夫なようです。人間にとっても便利でいいですが、棕櫚自身はなんのためにこんな樹皮を作るように進化したのか、不思議です。
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