鉄葎(カナムグラ)茶
畑の隅に繁茂している雑草、カナムグラ。強靭なツルと、全体に生えている硬いトゲが厄介なこの植物ですが、どうやら「葎草(りつそう)」という生薬にもなる有用植物とのことなので、お茶にして飲んでみました。(過去の野草茶シリーズ)
カナムグラはアサ科カラハナソウ属の一年草です。つる植物で、鉄(かね)のような強靭なつるをもっているのが名前の由来だそうです。また、「葎(むぐら)」は広い範囲で生い茂るつる植物を指す語です。
つるの表面には、小さく硬い棘が無数についており、これで周りの植物などに絡みつきながら繁茂していきます。つるはとても硬く、なかなか切れないため、迂闊に素肌を晒してカナムグラの藪に突っ込むと擦り傷が沢山できます。刈り払い機で草刈りをする際も回転場に巻き込んでしまうので、畑に生える雑草としてはなかなか厄介な植物です。
カラハナソウ属と言えば、ビールの製造に使われるホップは和名でセイヨウカラハナソウと呼ばれ、同じカラハナソウ属に属されます。このカナムグラもホップによく似た実をつけるのですが、これは残念ながらホップのような用途には利用できないとのこと。
葉、茎、実ともに生薬になるため、採集したカナムグラはそのままざっくりとハサミで細刻んで乾燥させます。
乾燥させたものを、ヤカンにIN。しばらく煮詰めます。
煮詰めているときは、控えめですが、家庭で漂っていて違和感のないようなお茶らしい?良い香りがします。煮詰めるまではとくに際立った香りもない植物なので意外です。また、結構すぐに色が出てきます。
完成
色は若干緑色に近い黄色といった感じ。味はそこまでクセも強くなく、香りもあり、飲みやすい部類です。ただ、以前飲んだ野草茶にも被るようなどこかで飲んだ味と香りで特徴に欠けるとも言えます。このカナムグラで作る「葎草」の効能は健胃整腸作用やそれに並んで利尿・解熱の作用があるそうです。
本草学の大著、「本草綱目」にも「五淋に主効あり、小便を利し、水痢(下痢)を止め、瘧を除く」と薬効が紹介されています。五淋とは尿路や膀胱にまつわる五つの症状を指し、瘧(おこり)は数時間から二日おきの間隔で平熱と発熱を繰り返す間欠熱を指します。
どこにでも生えているありふれた雑草でありながら、薬草として実は由緒正しいカナムグラ、覚えておいて損はありません。ただ、煙たがられる雑草だけに採集の際は付近の除草剤の散布状況などは要チェックです。
OK
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