秋の味覚 イナゴを食べる
収穫の秋、食欲の秋という事で、木の実やキノコ、米や一部畑の作物など収穫のシーズンで何かと食が忙しい秋。秋の味覚にも色々ありますが、黄金色に輝く田でこの時期沢山見られるイナゴたち、彼らも立派な秋の味覚です。そんなわけで先日、仕事で子どもと一緒にイナゴを調理して食べました。
昆虫食というと今の日本の食卓では一般的ではなくなってきており、ともすればゲテモノ扱いされることもあります。が、昆虫食は世界を見ても広く昔から行われてきた歴史があり、今も日本を含め、世界各地で現存する立派な食の文化です。
蜂の子in長野 「ピーナッツ味の肉」という感じ。美味しい。
日本における虫食のホットスポットと言えば長野県をはじめとする中部地方の一部地域~東北地方にかけての地域が挙げられます。以前住んでいた長野ではイナゴ、蜂の子しか食べていませんが、他にもザザムシ(ケラ)やカイコ、ゴトウムシ(カミキリムシ)などが有名で長野は日本の昆虫食のメッカです。海に面していない長野では海産物に代わる蛋白源として昆虫食が発達したという背景があるようです。
カイコの蛹の素揚げinカンボジア
カイコの蛹を素揚げにしたもの。カンボジアの屋台で売っていました。味は香ばしくどこか粉っぽい?ようななんとも言えない虫独特の味。養蚕では繭から蛹を取り出す工程があり、沢山の蛹がとれるため、養蚕が行われていた地域ではカイコの蛹を食べる習慣があったりします。2014年に世界文化遺産に登録された群馬県の富岡製糸場の周りでも売っていました。
ゲンゴロウの素揚げinカンボジア
カンボジアの屋台で発見したゲンゴロウの素揚げ。ゲテモノ喰いとして紹介される食レポ記事なんかでは丸ごと食べて「硬くて口に残る」という感想がよく見られますが、現地民曰く、羽をむしって胸より下をポキっと折ってから食べるのが正しい?食べ方とのこと。それでも尚バリバリムシャムシャといった食感で、虫独特の香ばしい味。
コオロギの素揚げinタイ
タイの田舎の市場で売っていた素揚げコオロギ。カイコの蛹によく似た味ですが、触覚や足、羽があるので、食感はエビに近いです。タイでは竹に住んでいる蛾の幼虫、バンブーワームも食べました。タイ語ではロットドゥアンと呼ぶそうで、山岳民族の季節の山の幸だそうです。素揚げされてパリパリになっており、見た目以外は何の変哲もないスナック菓子のようでした。妻(当時彼女)と一緒に食べようとお土産に買って帰ったら、美味しすぎて全部食べられてしまいました。
タイも日本と同じく東北地方で虫食の文化が色濃く残っており、その背景も海に面していない立地における蛋白源の確保のためと長野で虫食が発達した背景と似ています。バンコク(都会)から田舎に来たタイ人は虫を食べるのに抵抗感を持つらしいですが、そこも日本と同じです。
先日子どもが試しに天ぷらにしていたトンボ
トンボを食べることは実際にあまり聞いたことがありませんが、「日本の食用昆虫」という論文には日本を含む世界でトンボ目が食用・薬用とされているとチラッと書いてあります。胸以外はパリパリで殆ど食べ応えがなく軽いスナックのようです。
写真がありませんが、これ以外にもアリやカメムシも食べたことがあります。カメムシは下処理に失敗すると大変な事に。
イナゴ
獲ってきたイナゴは一日置いておいて糞出しをし、それから調理に入ります。
油で炒めるのですが、生きていると油が跳ねたり逃げたりして大変なので、炒める前に熱湯をかけるか一旦茹でます。炒める時は油が跳ねないよう水気をしっかり切りましょう。
ある程度炒めて香ばしい香りがしてきたところで、砂糖大さじ4、醤油大さじ2を入れて煮詰めていきます。ある程度煮詰まったら酒を少々加えてからさらに熱し、水分を飛ばします。とろみがついてきたら完成です。
完成
見た目は遠目にエビの佃煮となんら変わりないですが、食べた食感もエビそのもので目をつぶって食べたら恐らくわかりません。佃煮ということで濃い味付けなので、バッタの味などはわかりませんが、できたてはタレが絡んでしっとりしていながら一部パリっとした食感も楽しめる、ご飯に合う良いおかずです。子どもたちにも大好評でした。
慣れていないと最初のビジュアルが壁となる虫食ですが、一度えいやと食べてしまえばその後は一気に抵抗感が無くなります。感覚をフラットにすれば普段食べているエビなんかは足が多い分普通の虫より凄い見た目ですし、カニなんかは巨大なクモかウデムシのようです。慣れているかどうかの違いだけで食の幅が狭まるのはもったいない、食べられるものはどんどん食べていきましょう。
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