2019/03/05

古民具頂きました
3/05/2019

古民具頂きました


今住んでいる地域の郷土資料館が閉館するとのことで、収蔵されている民具をいくつか譲って頂きました。ぼくは民具が大好きで、以前から何かと古民具屋で買ってきたり、譲って頂いたりとしているうちに家、部屋のあちらこちらが民具だらけになっています。最近ややミニマリスト思考に傾倒気味な妻はそんなぼくの行動をあまりよく思っていないようですが、スマート機器溢れる現代において、民具との出会いは一期一会。なんだかんだ理解して許してくれている妻には感謝しています。

民具その1 でかい鎹(かすがい)

たぶんこの鎹は木挽き道具としてのものだと思います。山で木を伐り搬出する際に使う道具で、「木馬(きうま、きんま)」と呼ばれる木材を満載して引くソリがあります。この木馬を曳く木馬曳きという仕事をかつてやっておられた方が地域にいるのですが、その人の話では大きな鎹を丸太に沢山打ち込んでそりに固定し、曳いていたとのこと。おそらくその鎹だと思われます。


木挽き道具の各種鋸。今の使い捨ての替刃方式の鋸と違い、丁寧に目立てしながら永く使える昔ながらの鋸です。鋸には縦挽きと横挽きがありますが、これらは横挽き。古民具の縦挽き鋸(前挽き鋸)も持っていますがこちらは独特な形状で大ぶりなので迫力があります。葛飾北斎の有名な浮世絵、富嶽三十六景・遠江山中にも描かれています。前挽き鋸は面白いので、また個別に記事にしようと思っています。

蓑(みの)

変わった素材の蓑。「ムクゲ蓑」とのこと。ムクゲとは綺麗な花を咲かせるアオイ科の木本ですが、どうやら調べてみると樹皮から繊維が採れるとの事。ぱっと見は乾燥したカラムシ繊維のようにも見えますが、繊維一本一本が長いです。糸を績んでいけば布も作れるんじゃなかろうか。菅・棕櫚・藁の蓑は見たことがありますが、ムクゲという素材は初めて見ました。

番傘

和紙には教科書通り、柿渋の防水加工がされています

柿渋を仕込んだ際に、利用法としてまず頭に浮かんだのはこの番傘でした。しかし、規則正しく竹で組まれたその緻密な骨組みは正に職人技。挑戦するには相当な気力と時間が必要そうです。

竹筬(たけおさ)と筬枠(おさわく)

織機の部品である「筬(おさ)」。布の織る際の経糸を整えておく部品で、高機の場合は緯糸を打ち込む役割も兼ねています。現在はステンレスなどでできた筬が使われていますが、かつては竹で精密に作られたこの竹筬が主流でした。今ではこの竹筬を作る技術はほとんど途絶えており(技術を復活させようという動きはあります)、国内で製造しているところも無いようです。

豆腐箱

豆腐作りの道具です。大豆から絞った豆乳ににがりを入れ凝固させたら、この箱に凝固した豆乳を流し入れ、蓋と重しをして豆腐としての形に仕上げます。

箱鞴(はこふいご)

昔の手動送風機です。鍛冶屋さんなんかが、炭に空気を送り、温度を調節するのに使います。東北を旅した際に訪ねた鍛冶屋さんは、実際に3代にわたって一つの箱鞴を使い続けておられました。レバーを押しても引いても風が送られる仕組みになっています。ぼくの行うたたら製鉄は炉が小さいとはいえ、この風量ではさすがに無理だろうか・・・。天秤鞴が導入される以前の製鉄の絵図では箱鞴を使っているようですが。

そんな感じでざっくり民具の紹介をしました。今後また民具一つ一つにクローズアップして詳細を紹介できればと思います。


民具はかつて人間が自然と折り合いをつけて共に生きてきた歴史と知恵の結晶です。一見便利に見えるモノがあふれる現代ではあまり見向きもされないこれらの道具には、人間らしい豊かな生き方のヒントが沢山詰まっているように、ぼくには見えます。

自然と付き合う知恵を持ち、その知恵をもとに自然の中から生き抜くために必要なものをそろえてしまう人たちこそ、究極のミニマリストなんじゃないでしょうか。最近よく耳にするミニマリズム思考のゴールがそこなのであればぼくも沢山の民具を教材に、ミニマリストを目指そうと思います。
OK


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