植物で鉄を磨く
サンドペーパーのように使える「トクサ(砥草)」という便利植物があります。トクサは以前スギナ茶の記事内で紹介した通り、スギナと同じシダ植物です。確かに言われてみるとスギナを拡大したような茎。ヤスリのような働きをするのはこの茎の表面になります。
今は番手も豊富なサンドペーパーがありますが、そんな現代にあっても繊細な木地加工品の研磨などに使われているとの事。明楽に使われる明笛に、今も竹紙が重宝されているようなこともそうですが、科学技術が発達した現代でも代用品としてではなく唯一無二のものとして天然のものが採用されているという話はなんだか一種清々しさを感じます。
トクサ(Wikipediaより)
採集してきたトクサ
さて、そんなわけでトクサを実際に採集してきました。小さいころ、庭に生えていたトクサで爪を磨いたりしてみたことがあったので、なんとなくどこでも生えてるもののように思っていましたが、探してみると意外とないものです。
糸車の錘(スピンドル)
先日古民具の糸車の錘を譲っていただいたので、今回はこれを磨いていこうと思います。
実際使用されているときの錘
結構錆だらけなので磨き甲斐があります
トクサを採集してから時間が経ってしまったのでパリパリ
本当は茎を節ごとに分けて、割いて開いて裏漉しして乾燥してそれを木片に貼りつけて…などちゃんとした使い方があるようですが、今回に関しては取りあえず鉄が磨けるのかがわかればよし。最低限トクサがパリパリに割れない程度に水に戻したりしながら研磨作業をしました。
結構綺麗になりました
サンドペーパーでいうところの目がかなり細かい事もあり、錆でできてしまった凸凹を瞬時に削って平らするほどの威力はありません。ただ、ちゃんと錆は取れて綺麗に研磨されていきます。鉄の地に細かい擦り傷がついているところを見ると鉄の硬度に負けず研磨できているようです。想像より目が細かいので仕上げ研磨用といった感じです。
錆のひどかった部分の凹凸まではピカピカになりませんでしたが、期待以上です。
このトクサ、ケイ酸が含まれるとのことなので、トクサの灰を作れば藁灰の代用として釉薬の材料にもなるかもしれません。これはまた次回機会があれば挑戦してみます。
OK
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