シュールストレミング と 自作くさや②
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日本において、魚・臭い・発酵食品と言えばくさやです。大雑把な製法としてはシュールストレミングと同じく塩水に漬けて発酵させるというもののため、日本版シュールストレミングと言ってもいいのかもしれません。
以前、食文化体験ということで、このくさやを子どもと仕込み、食べたことがあります。
くさやそのものや、魚を漬けるくさや液は独特のにおいがありますが、例えるならば、水気の少ない澱んだドブのにおいに近いです。もっと言うならば、瓢箪の中身を出すために水に浸けて腐らせたりしたときのにおいや、薩摩芋の苗を水に浸けっぱなしにして腐らせたときのにおいに近い気がします。普通に考えていいにおいではないのですが、食べたくさやが美味しすぎて、今僕の頭はくさやのにおいを「美味しそうなにおい」と認識しています。人間の感覚は割といい加減です。
ちなみにシュールストレミングのにおいは、くさやの6倍だそうです。
ちなみにシュールストレミングのにおいは、くさやの6倍だそうです。
「抗菌」の字がどこか虚しい
くさやは前述のくさや液という発酵液にアジやシイラ、サンマなどを数日漬けた後、天日に干して作る発酵干物です。
くさや発祥の伊豆諸島では江戸時代、稲作などには厳しい土地条件から米の代わりに塩を年貢として納めることが義務付けられ、塩がとても貴重なものでした。保存のため塩漬けの魚を作るにも、塩が沢山必要になってしまうため、塩を節約するために、魚を塩水に漬け、それを干し、漬けた塩水を再利用してまた魚を漬ける、ということを繰り返していったそうです。そうしてだんだん魚のたんぱく質を基に熟成発酵されてできたのがくさや液というわけです。
このくさや液の中にはいつから入ったのか、乳酸菌の仲間のくさや菌なるものが生きており、彼らが魚のたんぱく質や脂質を分解することでくさやができます。そのため、自分でくさやを作ろうと思うと、一度くさやを購入し、それに付着しているくさや菌を種菌として塩水に漬け、くさや液作りをする必要があります。
マイくさや液で自作くさや 買ってきたアジと、川で釣ってきた魚を使っています
一方シュールストレミング発祥の背景も、製塩に向いていない土地で塩を節約するために、薄い塩水に魚を漬けたことが始まりとのことです。
シュールストレミングの実食についてはもちろん、くさやの魅力は、一度に書ききれないので、今回はその概要に留め、また後日別の記事で紹介したいと思います。
追記:シュールストレミング実食しました
OK
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