2019/02/21

藤皮繊維を利用する
2/21/2019

藤皮繊維を利用する


衣の自給に使う繊維について、何があるか考えていたときにふと思いついたのが、ぶちゴマの鞭。ぶちゴマとは昔の遊びで、太めの木の棒を削ってコマを作り、それを鞭状のもので叩いて回すというもの。地域の方が子どもに作って教えているぶちゴマの鞭が何やら繊維質の植物でできていたことを思い出したのでした。

「藤(ふじ)の根」

そんな「気になるものリスト」の中の一つとして、これを頭の片隅に留め少し経ったある日、仕事の関係で地域の方にぶちゴマについて教えて頂く機会がありました。その中で、実際に鞭を作る方法や材料の採り方、処理の仕方などを教えて頂きました。鞭の素材となっていた繊維質の植物の正体は「藤(ふじ)」の根の皮でした。

その藤を最近、仕事がてら少し採る機会があったので紹介します

藤の根を探す 足元の白く真っ直ぐな根は全部藤

まずは藤の根を探します。藤の花が咲くごろに大体の場所の検討をつけておくと探しやすいですが、そこまでしなくても見つけるのは大変ではありません。


他の木の根よりも白っぽく、薄皮にしわが寄ったような独特の木肌をしているので、あれば目につきます。

鉈で切り

引っ張り出す

根は大抵地表面近くをを真っ直ぐ這うように伸びているので、地表に出ている部分を探して、一端を切り地面から引っ張り出します。太さは太くても3cm程度までのものが使いやすいように思います(ぶちゴマや即席ロープとして使う場合)。

このように沢山枝分かれしているもの、節くれだっているものはだめ

途中に節があったり、枝分かれしていると皮を剥ぐときに繊維がそこでいったん切れてしまうので、枝分かれ・節がなく、真っ直ぐな部分を切り取ります。

採って来たら根を木槌や金槌などで叩いて、中心の木質部と皮をほぐします

木質部がぐしゃぐしゃと潰れ、皮に亀裂が入り、くっついていた皮と木質部が離れます。これは根に水分が含まれているときにしかできない作業なので、採ってきてすぐにやります。すぐにできない場合は作業をする時まで水に浸けておきます。

全体がほぐせたら、木質部から皮を引っ張り、剥がします

しっかり叩けていて、乾いていなければきれいに剥がれます。根に含まれる水分の関係で、採集の時期に一番適しているのは夏。冬場は根があまり水分を吸い上げていないので、夏に比べると皮が剥ぎにくいようです。

剥いだ皮を藁縄作りの要領で綯うと

丈夫なロープになる ただ、綯わなくても十分使えます

剥がれた皮の繊維は柔軟性・引っ張り強度・摩擦にも強く、縄を綯うと結構丈夫なロープになります。キャンプなどでその場で即席で小屋掛けするときに、結束に使えます。

調べてみると、藤の蔓から繊維を採って織る「藤布」というものはカラムシの布と同様全国に広くみられる古代布のようで、現在でも伝承されている地域があるとのこと。繊維の質的に、綿や絹に比べ緻密な織は難しいようですが、その分通気性が良く頑丈(耐用年数10年以上)で夏の作業着などに向いているらしいです。カラムシの昭和村もですが、この藤布の伝承地域にも近々勉強に行きたいです。
OK

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