炭のこと
今日は仕事の関係で、炭焼き作業の窯出しをしました。仕事なので、自分で自給自足している炭ではありません。個人的には今後、製鉄のために沢山の炭を焼く必要がありますが、原木の切り出しから、窯の火入れ、世話まで一人でやるにはすごく大変であることが分かっているだけになかなか腰が上がりません。
今回使った炭焼き窯
打撃式火おこしに使う火口作りも一応ごく小規模な炭焼きで、今回のような大きな炭窯で行う炭焼きと原理は同じです。要は有機物を蒸し焼きにすればいいのです。空き缶で行う火口作りやドラム缶の炭焼きは時間的にもすぐに終わるので、コンパクトに原理がわかっておすすめです。
炭焼きの窯も、焼き方も、地域によって色んな工夫があって面白いです。築かれた窯とそれを使う技術は「有機物を蒸し焼きにする」そして「なるべく多くの(若しくは手軽に)炭を得る」というゴールを目指して先人が絞った知恵と経験の結晶で、ダイナミックに上から土をかぶせる方法や、普通下から上に燃えるようにイメージしがちな火を、窯の上部から焚いていく方法など、調べれば調べるほどに意外なアイデアが見つかり、奥深いです。
炭を切る作業
余談ですが、炭と言えば思いつくのが石炭。
或る海岸
以前、或る海岸で25年以上もキャンプ生活をしている方と一緒に1週間ほど生活したことがあったのですが、その海岸にはたくさん石炭が打ち上がっていました。
浜に打ち上がった石炭
たき火をして、羽釜で米を炊く
その人は毎日たき火をして、羽釜で米を炊いたり、調理をしているのですが、日々集め歩いている流木ばかりを燃やしていました。「石炭がたくさんありますが、使わないのですか?」と聞くと、「石炭は燃やすとすごい臭いがするから」とのこと。また「火力が強すぎて、米が焦げる」とも言っていました。火に放り込んでみると、火付きは悪かったですが、燃え始めると、確かにその方の言う通り。あまり調理には使う気になれませんでした。
浜辺で釣った特大アオリイカを焼いて食べた。左側にある黒い石が石炭。
石炭は大昔の植物が地下で長い年月をかけて炭化したもので、自給しようと思っても到底自分の力で作れるものではありません。また、できるのに時間がかかるので、掘れば掘るほど無くなっていきます。一方木炭は、計画的に木を切る場所をローテーション(若しくは造林)し、炭を焼いて、を繰り返していけば、ずっと生産を続けられるという違いがあります。そんなことを全く自然に生活の中で繰り返してきた昔の人には頭が下がります。ぼくが住んでいる地域では、まだ自分の家で使う炭を自分の家の炭焼き窯で作っている人がチラホラいますが、あまり次の世代には受け継がれていないようです。もったいない!
炭焼きはまさに、自然と人間の暮らしに折り合いをつける技。炭焼きはぜひ習得したいと思っている技術の一つです。腰が上がらないながらも。
OK
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