種もみの休眠打破
個人的にではなく、仕事でですが、稲の育苗をするために種もみの芽出しをし、本日種もみを育苗箱に蒔きました。
稲の苗は既に育苗をしたものが売っていたりもするのですが、種もみという稲の種もJAなどに行けば販売しており、それを蒔いて育てれば、苗から自分で作ることもできます。
前年に収穫した未精米のもみがあれば塩水などで選別して使う事もできるようです。先人たちはもっぱら種もみを継いで継いで毎年苗を作っていたのだと思いますが、まだぼくは試していません。一つの課題です。
購入した種もみを水に浸ける 市販のものは消毒されているので消毒の青い色が出ます
種もみは休眠状態にあるので、起こしてやらねばなりません。これを休眠打破といいます。休眠を打破するためには、まず種浸(種もみを水に浸ける)します。この種浸期間の積算温度が大切で、平均水温×日数でおよそ100℃になるようにします。なお、コシヒカリの場合は休眠が深いので120℃あたりを目安にすると良いようです。
水の温度は13℃前後が適温とのことなので、だいたい10日程度種浸してやります。
売られている消毒種もみでは結構アバウトでも大丈夫ですが、自前の種もみを温湯消毒などする場合はこの種浸し日数と水温がシビアになるようなので注意が必要です。
(参考:水稲種子温湯消毒種子取り扱いマニュアル)
芽が出た種もみ 種もみ蒔きが一日延期になったのでちょっと芽が出すぎています
芽が出ない程度の低温でしっかり水を吸った種もみは芽が出る準備ができているので、このあと、何らかの方法で30~32℃あたりに温めてやり、発芽を促進させます。ぼくの場合は風呂に湯を張って、そこに種浸しているバケツをいれて温めています。
こんな工程を経て種もみはやっと休眠から覚め、芽を出すわけですが、これは稲が適切な季節・タイミングで成長するための彼らなりの進化の結果です。稲は秋に実りますが、稲穂からもみが落ちて、すぐに発芽をしてしまうとすぐに来る冬の寒さに負け全滅してしまいます。休眠はそうならないための言わばタイマー機能なわけです。そんなわけで、休眠打破で水に浸けたりお湯で温めたりというのは、人工的に発芽の季節が来たと種に勘違いさせる行為だということです。
植物により、種子の休眠の深さやその打破の条件は色々でとても面白いです。自然の不思議や抜け目ない生存戦略に気付くことができるのも手作業の魅力の一つです。
OK
0 コメント:
コメントを投稿